上出惠悟は1981年石川県生まれ、2006年東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻を卒業。磁器の成形や手仕事による絵付に卓越した技術をもった職人達を率いる九谷焼窯元・上出長右衛門窯の六代目として、窯のディレクションを行いながら、個人としても作品を発表しています。
これまでYoshimi Artsでの個展「幽谷」(2011年)、「游谷」(2013年)、「硯海の貝」(2014年)や、「楽園創造(パラダイス)-芸術と日常の新地平- vol.3 上出惠悟」(gallery αM 2013年)などにおいて、上出は自身の出自である九谷焼を俯瞰的に捉え、東洋で始まった磁器の歴史を背景に、神話的ともいえる手法で磁器が内包する時間と場所について探求してきました。
その後、「山の熊か、熊の山か」(松坂屋名古屋店美術画廊 2015年)、「熊居樹孔」(Yoshimi Arts 2016年)と続く個展群では、自身の置かれた環境や想いを“熊”というモチーフに重ね合わせました。「わすればなん」(東京日本橋髙島屋美術画廊X 2017年)では、東京藝術大学の卒業制作以来手がけてきた「甘蕉」シリーズを深め、「磁彫展」(横浜髙島屋美術画廊 2018年、松坂屋名古屋店美術画廊 2019年)では、幼少期に親しんだ彫刻の手法を磁器という素材に用いることで、自己との対話を深め、記憶という心の奥底に触れる試みを行なっています。
翌2019年には、約150年の歴史をもつ自身の窯元が手がける湯呑や茶碗などの製品をモチーフに、磁土を高精度な温度調整で焼成した作品《静物》を発表(「第14回パラミタ陶芸大賞展」(パラミタミュージアム)、個展「静物/Still Life」(Yoshimi Arts))。さらに、パンデミックの最中に開催された個展「0years」(Yoshimi Arts 2020年)においては、人と会うことが難しくなった状況下で、身体性を取り戻すようにさまざまな素材と向き合い、この時代への応答としての展覧会を行いました。
他には、2018年からは磁器板に絵付を施した作品を「瓷板画」として発表しており、これまでに「声」(2018年)、「瓷板画展 II THE HOUSE OUTSIDE THE HOUSE 家の外の家」(2020年)、「瓷板画展 III Under | Over」(2022年)、「瓷板画展 IV SYNERGY」(2024年)(全てt.gallery)と、各回テーマを設けながら継続的に取り組んでいます。
また、大学卒業後に時折制作していた油画にも、2024年より本格的に取り組み始めました。展覧会としては、「IZURA」(東京藝術大学 藝大アートプラザ 2024年)、グループ展(大徳寺瑞峰院 2024年、2025年)に参加し、「GO FOR KOGEI 2025」(金沢市、富山市 2025年)では、卯辰山にまつわる歴史を丹念に調査した大作《卯辰山展望台》を発表しました。
本展「B-P-F」では、「磁彫」「静物」に通じる彫刻的思考のもと、窯元の製品を重ね合わせ、釉薬を施し焼成することで一体化させた新たな彫刻作品を展示いたします。
アーティストステイトメント:
《B-P-F》 は、石川県の伝統工芸である九谷焼の産地で製造・流通されている磁器製食器の素地を用いた 彫刻作品である。積み重ねた食器は、釉薬(装飾)を施し、焼成するという不可逆のプロセスの中で、色味、質感、形状、寸法、強度の変化を生む。タイトルはBuilding(積重)、Processing(加工)、Firing(焼成)の頭文字を取って《B-P-F》 とした。
| 上出 惠悟 KAMIDE Keigo >> |
| 1981 |
石川県に生まれる |
| 2006 |
東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻 卒業 |
| 石川県在住 |
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| 個展 |
| 2024 |
瓷板画展Ⅳ 「SYNERGY」 (t.gallery/東京) |
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上出惠悟 水墨画展 「WINDOWS」 (東福寺塔頭 光明院/京都) |
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「IZURA」 (東京藝術大学 藝大アートプラザ/東京) |
| 2023 |
「上出瓷藝 上出惠悟 筒描 展」 (髙木糀商店/金沢) |
| 2022 |
「新蕉」 (Yoshimi Arts/大阪) >> |
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「新蕉」 (松坂屋名古屋店 美術画廊/名古屋) |
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瓷板画展Ⅲ 「Under | Over」 (t.gallery/東京) |
| 2021 |
「Still Life」 (日本橋髙島屋S.C. 本館6階 美術画廊X/東京) |
| 2020 |
「0years」 (Yoshimi Arts/大阪) >> |
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「瓷板画展II THE HOUSE OUTSIDE THE HOUSE 家の外の家」 (t.gallery/東京) |
| 2019 |
「静物/Still Life」 (Yoshimi Arts/大阪) >> |
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「磁彫展」 (松坂屋名古屋店 美術画廊/名古屋) |
| 2018 |
「磁彫展」 (横浜髙島屋 美術画廊/横浜) |
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「声」 (t.gallery/東京) |
| 2017 |
「わすればなん」 (東京日本橋髙島屋 美術画廊X/東京) |
| 2016 |
「熊居樹孔」 (Yoshimi Arts/大阪) >> |
| 2015 |
「山の熊か、熊の山か」 (松坂屋名古屋店 美術画廊/名古屋) |
| 2014 |
「硯海の貝」 (Yoshimi Arts/大阪) >> |
| 2013 |
「楽園創造(パラダイス)-芸術と日常の新地平-vol.3 上出惠悟」 (gallery αM/東京) |
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「游谷」 (Yoshimi Arts/大阪) >> |
| 2012 |
「甘蕉」 (pARa:siTe/石川) |
| 2011 |
「幽谷」 (Yoshimi Arts/大阪) >> |
| 2010 |
「KUTANII CONNEXION」 (スパイラルガーデン/東京) |
| 2009 |
「美術と工芸」 (桜華書林/長野) |
| 2008 |
「様式」 (高木糀商店/石川) |
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「Para:sideB」 (pARa:siTe/石川) |
| 2007 |
「Para:sideA」 (pARa:siTe/石川) |
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| グループ展 |
| 2025 |
「座辺の現代美術2025 ー想ー」 (大徳寺瑞峰院/京都) |
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「ピクチャレスク陶芸 アートを楽しむやきもの―「民藝」から現代まで」 (パナソニック汐留美術館/東京) |
| 2024 |
「座辺の現代美術Ⅱ 景」 (大徳寺瑞峰院/京都) |
| 2022 |
第5回 金沢・世界工芸トリエンナーレ「工芸が想像するもの」 (金沢21世紀美術館/石川) |
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「コレクション展1 うつわ」 (金沢21世紀美術館/石川) |
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「Insight 26 "connection"」 (Yoshimi Arts/大阪) >> |
| 2021 |
「高雅絢爛展―九谷焼の今―」 (サイエンスヒルズこまつ/石川、キュレーション|国立工芸館 岩井美恵子) |
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「青 / BLUE」 (Yoshimi Arts/大阪) >> |
| 2020 |
10周年記念展 「Decade vol.2」 (Yoshimi Arts/大阪) >> |
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「水ヌルミ九谷ノ絵師ガ 都ヲ遊行シタ處」<えつけ 上出惠悟 かたち 尾花友久> (陶 翫粋/京都) |
| 2019 |
「開館15周年記念 現在地:未来の地図を描くために [2] 」 (金沢21世紀美術館/石川) |
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「名工 選「NEXT 九谷」」 (浅蔵五十吉美術館/石川<能美>) <KUTANism> |
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「カラフル・オーナメント・オブジェ・クタニ」 (九谷セラミック・ラボラトリー/石川<小松>) <KUTANism> |
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「第14回パラミタ陶芸大賞展」 (パラミタミュージアム/三重) |
| 2017 |
「特別展 伝統と創造 現代九谷焼の旗手たち」 (富山市佐藤記念美術館/富山) |
| 2015 |
「祥瑞図」 (髙島屋日本橋店美術画廊X/東京) |
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「5th Anniversary Festival !!」 (Yoshimi Arts/大阪) >> |
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「恋スル工芸展」 (黒部市美術館/富山県黒部市) >> |
| 2014 |
「"Material and Form" in a digital age」 (Yoshimi Arts/大阪) >> |
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「美の予感 2014 -Metamorphose-」 (髙島屋 美術画廊/京都、大阪、名古屋、新宿、日本橋) |
| 2013 |
「九谷我谷」 (G-WING'S gallery/金沢, 2014 艸居/京都) |
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「伝統を更新する「承」」 (銀座・和光/東京) |
| 2012 |
「Primitive [ in order ](秩序の中の原初)」 (Yoshimi Arts/大阪) |
| 2011 |
「Insight "Repetition/反復"」 (ART OSAKA - Yoshimi Arts/ホテルグラヴィア大阪/大阪) |
| 2010 |
「BASARA展」 (スパイラルガーデン/東京) |
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「第1回金沢・世界工芸トリエンナーレ」 (金沢21世紀美術館/金沢) |
| 2009 |
「医学と芸術展」 (森美術館/東京) |
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「植物のうつわ」 (G-WING’Sギャラリー/石川) |
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「Nowhere but Hayama Opening Exhibition」 (Nowhere but Hayama/神奈川) |
| 2008 |
「桐生再演14」 (桐生森芳工場/群馬) |
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「ハコ展」 (pARa:siTe/石川) |
| 2007 |
「桐生再演13」 (桐生森芳工場/群馬) |
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「Montblanc Young Artist Patronage in Japan」 (モンブラン銀座本店/東京) |
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| 九谷焼窯元 上出長右衛門窯 |
| 明治12年 |
石川県能美市に九谷焼問屋として創業 |
| 昭和44年 |
明治神宮御依頼による「花瓶」を献納の栄を賜る |
| 昭和58年 |
昭和天皇御来県の折、御使用の御器制作の栄を賜る |
| 平成5年 |
伝統的工芸品産業の振興への功績を讃えられ通商産業大臣表彰を受ける |
| 平成12年 |
沖縄サミットの折、首脳晩餐会の器に使用される |
| 平成15年 |
四代目、勲五等雙光旭日章を受く |
| 平成19年 |
「PUMA with MARUWAKA KUTANI」に参加。九谷焼で自転車の各パーツを製作する |
| 平成22年 |
東京スパイラルガーデンにて大規模な個展「上出・九谷・惠悟展 九谷焼コネクション」を開催する |
| 平成23年 |
スペイン人デザイナーのハイメ・アジョン氏を招聘し新しい食器のシリーズを製作。ミラノサローネ(イタリア)にて発表する |
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丸若屋と共に製作した髑髏のお菓子壺花詰が金沢21世紀美術館に収蔵される |
| 平成24年 |
常滑の急須職人益規氏と金沢茶房一笑にて二人展を開催する |
| 平成27年 |
フランス・パリnakaniwaにて海外初個展「“ORIGINS” KUTANI CHOEMON’s Journey」を開催する |
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「九谷 上出長右衛門窯展」 (岡山髙島屋 美術画廊/岡山) |
| 平成28年 |
歌舞伎役者の三代目中村勘太郎丈、二代目中村長三郎丈初舞台に際し記念品を製作 |
| 平成29年 |
瓦斯(ガス)窯導入五十年を記念し初窯祭を斎行 |
| 平成30年 |
デンマーク・Sing Tehusとドイツ・ Yodaの二箇所で展覧会を開催 |
| 令和元年 |
創業140年を迎え、金沢・美術倶楽部でKUTANI CONNEXIONを開催 |
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| コレクション |
| 金沢21世紀美術館、
能美市、
Japigozzi Collection、
高橋龍太郎コレクション、MONTBLANC JAPAN |